寂しくて仕方が無い。
側にいて欲しい。声が聞きたい。僕の事なんかもう既に忘れてしまっているのだろうか。希望的観測で、そんな風に思っているのはもしかしたら僕の方だけなのかもしれないけど、もう、怖くてたまらない。
テレビが切れた瞬間の静寂は、人の心の奥底の様に冷たい。和やかな空気を一瞬にして引き裂いて、突き飛ばす。黒い画面に映った部屋さえもが僕の事を嘲笑している様に思えてくる。
絶対に言えなかった秘密を苦い顔で笑いながら語れる時が来たら、僕も眠ろう。
それまでは痛みをじわじわと摂取しながら起き長らえよう。
「風が、流れてるわ」
女の子は言った。
男の子は小さく相槌を打った。
足を止める事はなかった。
とても遠くまで来た様な、或いはまだ走り始めて間もない様な。
絶望的に小さな二人を、誰が見つける事も無かった。
誰が見つける事も無かった。
誰が見つける事も無かった。
誰が見つける事も無かった。
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